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2011
06.29

翡翠色の真実

Category: 小話
「翡翠色の真実」



僕は人里離れた森に住んでいる。
名前はなく、人には「アカツキ」と仮の名で呼ばれている。
村に住む、優しい目をした少年「メイ」がやってきた。

「やあ、メイ。今日は月が綺麗だね。」

「そうだね、アカツキ。雲もなくて、清々しいよ。」

メイは翡翠色の澄んだ目をしていて、とても綺麗で、優しい。
村でもきっと、人気者に違いない。

「ねぇ、アカツキ。アカツキはどうして村に住まないの?」

ああ、この質問はいつだって誰もがするものだ。
困ったな、上手く答えられるだろうか。

「メイ、誰か一人が犠牲になって、それで平和が生まれるなら、それでいいんじゃないかって僕は思うんだよね」

「アカツキ・・・それは間違ってる」

メイはとても悲しそうな目をした。

「平和を望むのは、人間だから。争うのも、人間だから。」

「アカツキがいなくて、平和なんて事はないよ。村はいつだって争いごとが絶えないだ。」

そうだろうけど、僕は異端だからしょうがないね。
そう呟くと、メイはもっと悲しそうな顔をした。

「異端・・・?アカツキは人間だし、どこも異端なんかじゃないよ。」

メイ、メイ、かわいいメイ。
僕は異端なんだ、人間と溶け込んじゃ、いけないんだ。

「ああ、メイ。ほら、夜が耽るよ。帰らなきゃ、家の人が心配するだろう。」

「・・・うん。また来るから。」

メイは納得していない感じだったけど、しょうがない。
おやすみ、僕のかわいいメイ。


僕も昔は、村に住んでいたんだ。
人間が好きで、人と関わるのが好きで。
単に寂しいってだけだったのかもしれない。

人が集まれば、たくさんの意見が出て、食い違う。
意見が割れた時に、人々は怒ったり、悲しんだり。

ただ僕は中立に立って、大人なふりをしているだけだった。
そうすれば平和になれるんじゃないか、などと勘違いしていた。
でも違ったんだ。気付いてしまった。
気付いてしまったら知る前に戻ることは出来ない。

争いごとになっても、喧嘩になっても村人は平気で暮らしてる
でも僕はもう耐えられなかった。
だから僕は怖くなって村を出た。
そんな考えをする僕は、異端だったんだ。

幸い、村外れの森で暮らす事は特に障害はなかった。
森には沢山の生き物が暮らしてて、一人きりじゃないし、
自然に育つ果物や木の実で生きていくことができる。
それに今はメイだって遊びに来てくれる。

 寂しいなんて、思っちゃいないよ。

でも

次の日になって、メイはこなかった。
その次の日も、メイは来なかった。

その次の次の日も

一ヶ月後も

僕は不安になった。二度と戻ることはないと思ったが、村の側まで行った。
そこには昔と変わらない村があった。
栄えていて、人もいる。

メイは、どうなったんだろう。

昔と比べ、髪も伸びていたし、村人は僕の事に気づかないと思い
深く帽子を被って村に入った。
メイの家は知らないが、綺麗な翡翠の瞳の少年について尋ねればいいのだ。

「もし、そこの方。」

「おう、旅の兄ちゃんか?どうしたんだ?」

昔と変わらず、村人は陽気で優しい。

「メイ、という少年を知りませんか?翡翠色の目が綺麗で、黒髪の。」

「・・・・旅の兄ちゃん、どこでそいつの事を知ったがしらねぇが・・・」

「・・・?」

「今日の13時から、処刑だな。中央広場で。」

なんのことだか、さっぱり解らなかった
処刑?何故?あんなに優しいメイが?なんで?

「処刑とは・・どういうこと、でしょうか」

「なんだ兄ちゃん、しらねぇのか?」

 アイツは人間じゃなかったんだよ。

今の僕の脳を全部使っても、理解できそうにない。
メイが人間じゃなかった?
メイが、異端だった・・・?

「・・ありがとうございます、中央広場に行ってみます。」

見なければ、真実はわからない。
メイ、メイ、ああ、僕のメイ
そんな馬鹿なことがあってたまるものか。

久々の村だったが、迷うことなく中央広場にたどり着いた。
人だかりが出来ていて、真ん中には大きな檻が一つ。

「すみません、通してもらえますか?」

必死に言うが、村人は興味津々で檻の周りに居て、
簡単には通れなかった。
人を押しのけ押しのけ、檻に近付くとそこには黒い翼に、翡翠の目をした龍がいた。
まだ子供なのだろう、大して大きくはない。

黒い翼に、澄んだ翡翠の瞳。

メイだ。間違いないだろう。
メイは人に化けていたのだ。
化けて僕と接していた。

そういうことだったのだ。

「メイが・・・・この龍がなにをしたというのですか?」

村人に尋ねる。
村人は、驚いた顔でいう

「人間に化けて村に住んでいたんだぞ!?龍なんて、俺達を食う機会を伺ってたに違いないだろ!」

誰に尋ねても同じような答え

そう、メイはなにもしていなかった。
僕は、信じれなかった

やはり村を出て、正解だったのだ

この人たちは、この村は

 腐ってる

そう思った後のことはあまり覚えていなかった。
気が付いたら、村人をなぎ倒し
気が付いたら、メイと一緒に逃げていた。
どこからそんな力が出たのかわからない。
火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか。

今は羽ばたく小さな龍と一緒に、空を飛んでいる。

「メイ、メイ、私の小さなメイ。これからは僕と暮らしていこう。
僕は君が人間じゃなかろうと、否定したりしないから。なんたって、僕も異端だからね」

なんて笑いながら。

異端なんて、どうだっていいんだ。
人間が異端かどうかなんて自分じゃわからないんだ。

真実を知っているのは誰かなんて、そう大したことじゃないんだ。

愛する心があれば、人であろうとなかろうと一緒にいたっていいんだ。

無限に広がる彼方へ、共に行こう。

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